玉野だより

『玉野だより』2018.10.02 【瀬戸内朝陽】

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この日は、台風一過の快晴が続いたため、早朝、日の出海岸の砂浜に隣接する船着き場にイーゼルを立て、昇る朝日を待ち受ける。

目の前の、屏風島の距離が近いので、ナチュラルな視角で島と比較すれば、太陽が大きく見えるはずだ。ここと宇野港のどちらかで、海と朝日の絵を描くつもりだったが、28日のロケハンで、ここに決めてあった。

ここでも、予想通り、予定通り素晴らしい光に包まれて、描画した。世界存在は真・善・美の軌持(レール)に沿って動いている。イーゼル画を始めて、もう何度こんな経験をしたのだろう。経験を積んだ歴戦の勇士は、想定以上の状況に出遇っても、迷いも戸惑いもない。6時から7時までの1時間、迷いも、逡巡も、停滞も、ノッキングもなく、身心(しんじん)脱落、忘我脱魂でキャンバス上に筆を走らせた。これは、長年芸術の修行を積んできた者の、畢竟地(ひっきょうち)だ。

画家にとって、描画の対価はすでに現場で支払われている。

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