玉野だより

『玉野だより』 2019.03.29【出崎風景(18)】

投稿日:

この日は、出崎の丸山の手前の草はらにイーゼルを立てた。左側の舗装されていない轍のある道を、画面に入れて描きたかったので、全てが中心を外れた、こんなアクロバチックな構図の絵になった。

人間はナチュラルには、対象を視角の中心に置く。そして、そこにピントを合わせる。その一連の行為を為すのは、自我である。だから、物と空間、中心と周辺を差別して見る。

一方、世界存在はオールオーバーである。世界はそうなっている。

そうなっているその世界を、正しく描写するには、自我意識を脱落(とつらく)し、眼を独立させなければならない。

要は、こういう場所を見つけるのも、イーゼルを立てるのも、こういう構図の絵を描くのも、一朝一夕には出来ない、意志の持続と修行がいるのですよ。

老いると、すぐに文章がお説教調になってしまうが、それが老画家の唯一の楽しみなのだから、許してネ。

-玉野だより

執筆者:

関連記事

『玉野だより』 2019.06.29【ネムの花咲く池(2)】

この日は、『ネムの花咲く池』の2枚目を描きに、前日と同じポイントに出かけた。イーゼルを立てられる場所が狭くて、ネムノキを画面に入れようとすると。視角も限定されて1枚目と同じような画面になってしまう。 …

『玉野だより』2018.11.23 【胸上の浜(干し網)】

この日は、休日で中川さんの迎えがなく、明見氏も10時半まで都合がつかないので、朝は、朝の逆光の葛島の取材を自転車で行き、11時に明見氏に迎えに来てもらった。11時半頃、胸立のいつもの浜に下りたが、描こ …

『玉野だより』2018.09.27 【王子が岳風景(20)】

この日は、昨日描いた場所の奥で、同じ岩を、角度の違う方向から描いた。イーゼルを立てる場所が、限られているために、同じ方向の視界に、対象とキャンバスが入らず、描きにくいが、アトリエ画と違って、イーゼル画 …

『玉野だより』2018.11.30 【鉾島】

この日は、川向こうの堤防を降りて鉾島の南側に廻って小さな砂浜から日の当たる崖を描いた。瀬戸内の石や砂は、色が明るいので、崖や浜や道が白っぽくて描きやすく絵になる。雲ひとつなかったので、空はアトリエに帰 …

『玉野だより』2018.10.02 【瀬戸内朝陽】

この日は、台風一過の快晴が続いたため、早朝、日の出海岸の砂浜に隣接する船着き場にイーゼルを立て、昇る朝日を待ち受ける。 目の前の、屏風島の距離が近いので、ナチュラルな視角で島と比較すれば、太陽が大きく …